司書講習への道~After~

司書資格取得後の図書館勤務生活について書きます

休職からあと10日で退職の現状と、図書館で働くことがいやになった話

こんにちは。

お久しぶりです。かわにんです。

 

なかなか更新できないまま、初めて嘱託として就職した今の館を、あと10日で退職する

ことになっています。

今日はなぜこのようなことになったのか、その理由と、現在の心境について書いてみ

たいと思います。

 

元ブログの「司書講習への道」はおかげさまでコンスタントに見ていただいているよう

で、司書資格に興味のある方は相変わらず多いのだな~と思っています。

 

と同時に、図書館に司書としての就職を考えている人もやはり結構いるのだろうな、と

思ったので、その方達にあるひとつの現状としてお伝えできれば、と思いました。

 

さて、地元の公共図書館で臨時職員として働いているうちに司書になろうと思ってか

ら、司書講習に通って司書資格を取ったり、試験対策として図書館を見に行ったり、自

治体を掛け持ちして嘱託の試験を受けたり、遊びも我慢してかなりの労力と時間を図書

館への就職のために割いてきました。

 

そしてやっと昨年念願かなって10倍以上の倍率を潜り抜けて合格を手にし、嘱託司書と

して楽しく働けていたにも関わらず、なぜ1年半で辞めようと思うに至ったのか、と言

えば。。

 

「休みが少なく体力的にきつかった」

 

この一言に尽きます。

 

詳しくは前回のブログ(休職~退職へ)に書きましたが、とにかく体力的にきつかっ

た。

もちろん仕事をしていれば色々とあります。

利用者さんに怒鳴られることもあるし、担当のミーティングがうまくいかなかったり、

内部の人間関係でごたごたしたり、図書館のルールに疑問を感じたり、会社のやり方に

納得いかなかったり。。

 

しかし、全ては休息時間がじゅうぶんに与えられていれば、なんとかなったことだった

ともと思います。

その間に休んで疲れをとって考えを整理して、気分転換してまた新たな気持ちでがんば

ろう、というふうにもなれるし、改善案を提案しつつ、地道にがんばろうと思うことも

できたと思います。

 

でも、ここは激務のわりに休みが少なすぎました。。。。

 

前にいた館が週2,3日程度の出勤だったので、それとのギャップが激しかったのもあり

ますが、祝日なしの4週8休制、4連勤5連勤普通というのは、たまの1日しかない休日は

休みと家事で終わってしまい、他のことはなにもできませんでした。

 

せっかくの休みも頭の中がうまく切り替わらず、気が付けばずっとぐるぐる仕事のこと

を考えている、ということもざら。

 

これでは休息になりません。肉体的な疲れが取れないまま仕事に行くこともしばしば。

 

また、病院に行くとなると、それだけで貴重な休みが丸1日つぶれてしまいます。

 

人それぞれ体力も体質も違いますから、もちろん全然平気な方もいます。

休みをうまくやりくりして1泊で近場の温泉に行ったりと、うまくリフレッシュし

ている人もいました。

 

しかし私には無理でした。

 

そしてしょっちゅう体調も崩していました。

 

他にも常に体調崩す人は沢山いて、それが当たり前みたいな感じでした。

 

比較的新しい、ちょっと珍しい形の図書館で、以前の館とは来館者数がケタ違いだった

ので、休館日明けなど他の図書館ではおそらく見られないだろうというおびただしい数

の返却本や予約本の処理に少ない人数で追われることもあり、文字通りへとへとになる

まで働くことがざらにありました。

 

何度も言いますが、それでも休みさえきちんと確保されていれば、なんとか乗り越えら

れたのではないかと思います。

 

仕事そのものは充実しており、楽しかったからです。やってみたい仕事もまだ沢山あり

ましたし。

 

しかし、休みはあまりに少なすぎました。

入って以来、いつも体力的にどうにかきつくないようにしようとシフト調整に頭を悩ま

せ、残りの有休を計算してはため息をつく日々でした。

 

今年度の有休が4月に出て、1か月後に病気であっという間に使い切ってからは、病休で

も欠勤扱いとなるので、そのぶんが翌月の給料から引かれます。(欠勤が増えると契約

更新にも響きます)

 

最後の半年くらいは毎朝「行きたくない」と言いつつ身体に鞭打って出勤していまし

た。

こんな日々にもほとほと嫌気がさしていました。

 

そんな折、1年半無理をしてきたのがたたって怪我をし、最終的には、行こうとすると

体のあちこちに拒否反応が出るようになりました。

 

そこでやっと休職することになりましたが、ここで初めて自分の体調や体質、会社の勤

務体制やこれからについてゆっくりと考えた末(それまではそんなことを考える暇もあ

りませんでした)、もうここでこれ以上働くのは無理だ、という結論に至ったというわ

けです。

 

せっかく楽しくなってきた仕事を手放すのはもったいない、という思いは正直今でもあ

ります。

今ならまだやり直せるかも、と思うこともしばしば。

 

そのたびに復帰したときのシフトを眺めるのですが、毎回やはり無理だという結論しか

出てきません。

現在は3日に1度くらいそれをやっているという妙な状況です(笑)

 

 

 次に、実は最近、そもそも図書館で働くこと自体がいやになった話をしたいと思いま

す。理由としては二つあります。

 

一つ目はこちら。

 

司書を目指す人ならご存知かとは思いますが、図書館の正規職というのはとても少な

く、大抵は年齢制限があります。大体30歳くらいまです。そして公共図書館なら自治

職員の試験を受けなければなりません。

 

嘱託や臨時職員、アルバイトならありますが、待遇はどれも似たり寄ったりでそんなに

良くはないです。ましなところであれば、週4勤務の嘱託で一人暮らしがギリ可能程度

の報酬です。アルバイトだと週5フルタイムでもかなり厳しいです。ちなみに東京の話

です。(地方は生活コストが低いのでこの限りではないかもですが、経験ないのでよく

わかりません)

 

昇給があるところはまれで、固定給の1年契約が多いです。

 

ボーナスも退職金もないところがほとんどです。

 

大体において、図書館の仕事というのは正規職以外は満足な待遇というものはなく、

仕事そのもののやりがいだけでもっているようなものです。

従って頑張ったらそれなりの報酬をくれることを期待している人には向きません。

家族を養わなければいけないような人にも向きません。

男性でも嘱託として働いている人はいることはいますが、独身か共働きが多いです。

結婚して奥さんや子供を養うのはかなり厳しいと言えます。

 

図書館の仕事、司書の仕事が楽しいから給料少なくても満足、と思える人、またはその

状況が許される人(独身か既婚女性)が多くいるから成り立っているのが図書館です。

いってみれば超「やりがい搾取」の職場です。(待遇に不満を持ちながら働いている人

ももちろんいます)

 

「図書館司書の仕事をいくら頑張っても報酬が上がることはなく、生活はずっとぎりぎ

りのままである。」

 

このことはだいぶ前から分かってはいましたが、今更ながらこれがほとほといやになっ

た、というのがあります。

 

体力的にぎりぎりの状態で、ずっと無理をしていたからかもしれませんが、ここまでし

て「努力が報酬という形で報われない状態」にずっと身を置くことで、失われる何かが

あるように感じました。自尊心とか正当な自己評価といったようなもの。

 

あとは現実生きていくのにもっと切実に必要なものとして、若さや体力、知力といった

「資源」です。正規の司書を目指して努力するのならともかく、私の年齢では既にほと

んど募集はなく、嘱託として定年まで働いても一生自立するのも心もとない給料しかく

れない図書館業界。この状況がいつ改善するともわからず(保育や介護の方が切羽詰ま

っていますからそちらを優先に対策がされ、図書館は後回しにされる可能性大というか

されている)これ以上このまま嘱託として働いていても、先がないと感じました。

 

(ちなみに現在とある転職サービスに登録していますが、そこでの診断だと私の市場価

 値は現在の2.5倍となっています)(にわかには信じられません、というか現状、本

 当なのかしら?と思っています)

 

アメリカでは司書は大学院修士を出ていることが必須で、司書の仕事は専門職として認

識され、4段階くらいの階級に分かれていて、一番上になるとレファレンス(専門的な

資料探し)などの知的専門的な労働しかやらず報酬も高いとか。

(下っ端は本を棚に戻す仕事(配架)やリクエスト処理などの事務をメインにやりま す)

出典:【司書補佐】アメリカの市立図書館における「司書補佐」のキャリア・レポート | Kiminiオンライン英会話ブログ

 

対して日本では司書の階級はせいぜい司書資格あり、なしの2種類くらいしかありませ

ん。どちらにしてもほとんどは非正規の弱い立場におかれ、給料は1人暮らしも厳しい

ほど低く抑えられています。

 

また司書でも配架や予約本処理などの肉体労働、リクエスト処理、相互貸借(所有して

いない資料をよその自治体から借りて提供する)などの事務作業もやります。

というかほとんどこういった事務作業や肉体労働がメインなので、契約書には職種は

「事務」と書かれています。(自治体によっては、カウンターでの貸出、返却、配架は

臨時職員やアルバイトのみがやるところもあります)

 

こうした事実を考えてみるほどに、自分自身の今の報酬は果たして市場価値として適正

なのだろうか、おそらく適正ではないだろうけど、例えばアメリカならば、いくらぐら

いもらえるレベルなのかという疑問が湧いてきました。

 

そのために米国に働きに行こう、とはまだ思えませんが、視察に行きたいくらいは思っ

ています。

 

「図書館業界の低給料」これがいやになったことその1です。

 

次はいやになったことその2です。

 

図書館で働いている人なら認識している人が多いと思いますが、嘱託の上には大抵正規

職員がいて、大事なことは彼らが決めます。私たちが何か疑問に思ったり改善したいこ

とがあって提案したりしたとしても、すぐに反映されることはほとんどありません。

(自治体によっては嘱託にかなり広い範囲の仕事を任せているところもあり、そういうと

ころはこの限りではないかもしれません)

 

ここに構造的な問題があります。

 

公共図書館の職員は自治体の職員で、たいていが異動で図書館に来るので、司書の専門

的な知識や資格を持った人がほとんどいません。

また失礼ながら図書館の仕事にそれほどの情熱を持っているとも言えません。

たまたま資格を持っている人がいたとしても、図書館を希望しているわけではなかった

りします。

 

すると当然、温度差が生まれます。

 

例えば利用者さんから探してほしいというリクエストを受けた資料を詳しく探していこ

うとしても、とある自治体の臨時職員の身分では嘱託か職員に頼むしかなく、職員に頼

むと断られたりします。彼らは忙しいので、なるべく手間を省こうとしがちです。決め

られた時間で膨大な仕事量をこなさなければならないので、仕方ない面もあるとは思い

ますが、こちらとしては残念な気持ちになります。(司書職である嘱託さんのほうが時

間と情熱がありますから頼むとやってもらえやすいです。)

 

自分が嘱託なら資料は自ら探していけますが、館内の規則などを決めるのは職員なの

で、前のエントリーで書いたような閲覧席の問題など気になることがあっても、できる

ことは提案ぐらいしかなく、実際に動いて改善につなげることは出来ません。

 

図書館で購入する本を決める選書も職員しかできないところが多いです。

 

正規職員である、という理由だけで、昨日までは全く別の部署にいた図書館にも本にも

興味のないような人が選書をしているわけです。。。公共図書館にはそういう視点も必

要かと思いますので、別にこれがすべていけないと言っているわけではありませんが、

それについてまず文句を言われるのはカウンターに出ている我々で、その我々には永遠

に選書をするチャンスは回ってきません。(中には嘱託が選書できる自治体もありま

す)

できることは「こういう理由でこの本を買ってほしいのですが」と職員さんにお願いす

ることぐらい。

こういう状況はほかのケースでも多々あります。

直接手をくだせない事項について、利用者さんから延々と文句を言われる日々。。

たいていはそのたびに上に報告と意見書をあげるのですが、一向に改善はされません。

選書が悪いという文句はさすがに上にはなかなか言いづらいですし。。。

他の皆もおそらくそうなので、ますます改善がされないわけです。

権限のない嘱託やアルバイトとして働く限り、ほぼ永遠にこの状態が続くのです。

この状況にもほとほと嫌気がさした、というのが図書館で非正規として10年働いてきた

現在の私の正直な感想です。

 

 それでも職員さんはその時それぞれに割り振られた仕事を、できる範囲で一生懸命して

くださり、中には司書資格を通信で自力で取られる方もいるのですが、いかんせんすぐ

に異動してしまいます。自治体の人事もこういったことを少しは考慮して、司書資格を

取った人は図書館に少しでも長くいられるような配置を考えてくれると良いのですが、

残念ながらそういった配慮はないようです。というかむしろ「市役所内で使えないと認

定された人」が左遷的に回されてきたり、あと1年で退職といったような人が館長とし

て異動してきたりというのが、自治体における図書館の位置づけのようです。本当に残

念なことですが。。。(司書を職員採用しているところは違うかもです)

結局、長年働いていて事情を熟知した人、というのがいない状況が続きがち。こうなる

となかなか根本的な改革まではいきません。

 

嘱託から自治体の正規職員になれるルートでもあればよいのですが、現代日本にそんな

ものはありません。今現在の勤めているところには実は委託先の正規職員になれるル

ートがあるのですが、正規になったらなったで今度は組織内の別の部署に異動したり、

はたまた全然違う業種に転職して辞めていったりするので、あんまり変わらないなとい

うのと、まだまだ改善には程遠い感触しか抱けませんでした。(それでも今の職場は前

の職場と比べるとだいぶ先進的なほうです。)ちなみに私は考えているうちに体調を崩

したのと、見ていて物凄く忙しそうで残業も多めだったので、たぶん私には無理だろう

な、、と思い、応募するには至っていません。

 

つまりこの職員(=異動する正規)が一番上に君臨している限り、図書館というのは構

造的に改革がなされにくいのです。

しかもこの構造的な問題は、もう40年も前から問題にされているような出来事なので、

今すぐに変わるとも思えません。

 

こういったことを日々感じながら体力をすり減らして仕事をする中で、それでも図書館

員として今後もやっていくのかどうかを再び考え直してしまった、という面がありま

す。

公共図書館の職員配置問題」これがいやになったことその2です。

 

 

以前明治大学リバティアカデミーの「検索達人養成講座」(現在はやっていません)で

一緒になった若い女子は、司書の資格は持っているけれども、司書の給料では生活出来

ないので、目指すのはやめたと言っていました。

 

こういう考えかたもありだと思います。

 

私の場合はそれでも図書館の仕事が楽しく、向いてもいると思っているので、現在はま

だ全くやめようとは思っていません。長年身に着けてきたスキルも多少はありますし。

結婚しているので、辞めたからといって今すぐ生活に困るわけでもありませんし。 

 

しかし独身の方が、これを体力ぎりぎりまで消費しつつ唯一の仕事として続けるのは、

あまりに危険ではないかと思っております。

 

嘱託は1年契約のところが多く、何かあれば真っ先に首を切られる存在でもあります。

正規に比べて保障も少なく、休める日数も少なく設定されています。

従って体力的に余裕があればよいですが、余力がないのに無理して続けると、最悪の場

合、再起不能なまでに体調を崩す可能性があります。

 

嘱託やパートの司書職は、基本的には仕事の成果ではなく、出勤した時間で給料をいた

だくわけなので、体調崩して出勤できなくなれば欠勤日数に応じて即首を切られます。

 

そうなると次の仕事もままならないまま無職になることになります。

 

健康であればまだよいですが、うつになったり大病したりすると、立ち直るのに非常に

時間がかかります。また、臓器でも壊したりすれば一生響きます。

日本の社会保障は心もとないので、特に若い皆さんにはこういった事態に陥ることだけ

は絶対に避けてほしいです。

 

 

最後に、それでも図書館で働きたいという方に、現在の私の考えている仕事計画をお話

しします。

 

とは言っても現在の私に図書館の仕事以外に自信をもってできる仕事というのもなく、

それなりに年月とスキルを重ねてしまったのと、やはり楽しいし働きたいと思うのが本

心でもあるので、自分なりにベストな方策について考えてみました。

 

もともと週5の勤めがきつく、週4で働けるから司書を目指したという側面もあるの

で、週4勤務あるいはそれ以下の勤務形態で、別の手段と組み合わせて働くのがベスト

ではないかと思っています。 

 

この働き方で正規職員は望めませんので、業務形態は嘱託かアルバイトという形になり

ますが、幸い(?)日本にはこうした職種がたくさんありますので、週4勤務以下で図

書館で働く、という希望はかなえられます。

勤務先を選べば、選書もでき、なんならボーナスももらえます。 (しかし一人暮らしは

厳しかったりする)

 

そこに別の手段をプラスするわけです。

 

別の手段と言いますのは、例えば校正だったりライティングだったりといった、ちょっ

と専門的な技術を必要とする時給の高い仕事という意味です。

図書館司書も本来は専門的な技術を必要とする仕事のはずですが、残念ながら現在日本

では時給はかなり低めです。なので今現在、技術をもっと報酬として評価してくれる

分野の仕事をかけ持つのが良いのではないかと考えた次第です。

 

もちろん、ハンドメイド作品をminneなどのサイトで販売するなど、自営でなにかする

のでもOKです。

その際は、自分が得意なこと、好きなことを選ぶとより良いです。

お金のためだけに好きでもない仕事をいやいややる、となるとモチベーションが続きま

せん。得意なことや、好きなこと、やってみたかったことなどに挑戦していくと、世界

が広がって経験も積め、一石二鳥だと思います。そのうちに才能が発揮されて、遊んで

いる感覚で稼げている、なんてことになるかもしれません。

 

図書館アルバイトをいくら増やしても得られる報酬はたかが知れていますので、最低で

も自分ひとりが自立できる額は稼ぎ、さらに余暇もきっちり取りたいと思ったら、図書

館の時給仕事を増やすのではなく、それ以外の高報酬が見込める仕事で、報酬そのもの

を高めていく努力をする選択がベストなのではないかと、今のところは思う次第です。

 

現在は世の中の流れ的に副業も認められてきていますし、そもそも嘱託は副業OKのと

ころが多いようです。この流れにのっていくのがベストかなと思います。

 

リスク回避のためには、もう一つの職業は図書館以外が良いと思います。

 

できれば同時くらいに、そちらの方の準備もやっていった方が良いと思います。

 

図書館の仕事を目指す皆さんに、なんらかの参考になれば幸いです。

 

それでは今日はこのへんで。